日常

どうやらこの子供は僕に茶を煎れるのは自分の仕事であると認識したらしい。
初めての茶は、どの程度の茶葉を入れればよいのか分からず、急須の三分の二ほど埋めつくした。次の日に煎れた茶は白湯に近かった。いまではほど好い熱さと味になっている。
けれど、初めて煎れた茶も次の日に煎れた茶もその次の日に煎れた茶も「おいしい」と言って飲んでいたものだから、僕の言葉はすっかり信用しなくなった。
こと、と机の端に茶が置かれた。引き寄せ、持ち上げる。あたたたかい湯気に目を細める。茶の良い匂いがする。口をつけ、おいしいよ、と笑ってみせる。一度、瞬き。じっと顔を見、五秒ほどしてから笑みを浮かべた。言葉より表情で味の評価を知ろうと考えらしかった。満足な結果が得られた子供は、自分の席へ帰ってゆく。副隊長になればわざわざ遠くの席へ帰らずとも良いな、と、思った。
いまのところ、これが朝の日常である

memo
:隊長と席官。